私がアトリエにきてから五年程たちました。
初めて表参道の教室に体験レッスンを受けに来た時、静かな住宅街にある立地、明るく柔らかな雰囲気の教室、そしてとても感じ良く丁寧な対応をしてくださる先生とスタッフの方々との出会いも嬉しく、ふだん即決しないタイプの私がその場で入会することになりました。
はじめの一年半位は和水彩中心でしたが、日本画で描きたかったのは“見返り美人”でした。この絵は私が物心ついた時、家の寝室の掛軸に掛かっていて(勿論、複製画か印刷物だったかもしれませんが)ずっと気になって魅きつけられていた絵でした。私の最初の絵画との出会いだったかもしれません。
絵は先生の指導のもと模写しました。日本画中心になってからは、あの“見返り美人”の魅力的なポーズをまねて“ドレスの見返り美人“の絵を描きたいと思いオリジナルで描きました。この絵も悪くはないのですが、何か違うなぁという物足りなさが残っていました。ある時、新聞に載っていたボッチチェリの“春”をみて気がつきました。私の描きたかったのは、春の三美神の真中にいる後ろ向きの女神だったのだと。そして“春”の中の三美神のみを切り取り私風にアレンジし、やっと満足しました。
昔からの思い入れや憧れ、素敵な風景に出会った時の感動を形として絵に表せることは、素晴らしいことで幸せな事だとつくづく感じる今日この頃です。
仲 宮子(オモ3/日本画・水墨画コース)
趣味:ピアノ・芸術鑑賞(美術館・コンサート等)・花めぐり