外国の、古い美術館を訪れるのが好きです。
人気の無い時間は特に、展示品や部屋自体の持つ
何とも言えない雰囲気を感じることができます。
印象に残る館は、ローマのボルゲーゼです。
コントラストの強い、バロック様式の作品を廻りながら、
盛りの生と、隣り合わせにある死の世界の存在を明確に感じ、
時代の基調を成していた意識に触れたように思いました。
美術館は、17世紀初頭にシピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿の別荘として建てられ、
現在はボルゲーゼ家のコレクションが展示してあります。
写真は枢機卿のコレクションの一つ、欲しさの余り持主を監禁して手に入れたと言われる
ドメニキーノの「ディアナの水浴(狩をするディアナ)」”Il bagno Diana (Caccia di Diana)”です。
薄暗い部屋の壁にある絵を見て、枢機卿が持主を監禁までした理由が解りました。
川の中にいる、手前の女性の表情です。
何を見ているのか判らない目、青白く虚ろで曖昧な表情。
「この女性はこの世の人では無い…。」館、
そして時代の雰囲気に見事に嵌る、私にとっては忘れ難い絵です。
下図の作品「Psyche」は、ミュシャの作品「月」(Clair de Lune)に、
この絵の持つ雰囲気を感じたことから、模写をしてみました。
下図の作品はミュシャの絵「夜」(Repos de la Nuit)の模写です。
左右に着物の図案の藤を配置しました。
力強いのか、それとも儚いのか。
ヨーロッパの伝統なのか、日本の影響(ジャポニズム)なのか。
ミュシャの描く女性には、何とも判別し難い魅力があります。
「何故、ミュシャを描くのですか?」という質問を受けることもありますが、
伝統的な日本画の画法で、西洋画を取り込むことにより、
日本人の身体と感性と西洋との調和を、私なりに模索しているのだと思います。
今後とも御指導、よろしくお願いいたします。
- プロフィール -
出身 群馬県
趣味 声楽、海外旅行