今月は特別企画!
川嶋講師と友清講師に「人物画の魅力」について語っていただきました!
作家として人物を描いているお二人の対談だからこその興味深いお話が沢山です!
K=川嶋講師 T=友清講師
【人物画の魅力について】
K:友清先生は人物クラスも担当していますが、普段も作家として人物を描いてますよね?
T:はい。
K:静物と人物の比率でいうと、人物の方が多いですか?
T:そうですね・・どちらかといえば人物の方が多いですね。
K:人物を描く魅力って何ですかね?
T:やっぱり人物って、一番難しいかなと思うんですよね。形とか、色味とかもそうですが、知らないと描けない部分が沢山ある。
例えば風景画は遠近法を知っていたほうがいいですし、静物も空間が大切なんですけれども、人物はあらゆる絵画の要素が入っているので・・・絵画としての物の見方というか。そういうのって描いていく上で必要かなと思うんですよね。
K:絵が上手くなっていくために、勉強を楽しむというようなものですか?
T:そうですね、それが一番大きいですかね。『型』みたいなものが人物は沢山あって、そこをマスターすることである程度上達が分かりやすい。
K:目に見えてって感じですね。
T:あとは端から「難しい」って分っているので、満足する事がないから、描き続けていけるというか。より良いものをというのは常にありますね。
K:人物を描いていて楽しいですか?
T:そうですね、楽しいですね。人物が一番。
川嶋先生も人物画にこだわりがあるっておっしゃっていたと思うのですが。
K:僕が人物を描くのは2つ理由があって、ひとつはやっぱり、人だからですね。
自分が人だから人には興味がある。自分が人だから人を描く。人をもっと知っていきたいとか、一番身近なモチーフですね。
もうひとつは、これは友清先生も同じだと思いますけど、西洋美術が大好きだから。西洋美術の歴史の中で静物画等をメインに描いている人は勿論いっぱいいると思うんですけど、そんな人も人物描いてる。人物を描かなかった人ってほとんどいないと思うんですよ。だから絵を描いていったらそりゃ人でしょ、みたいな感じがある。
逆に言うともし人物を描いていない人がいたりすると、『なんで人描かないの?』っていうくらい。
僕は絵が好きだっていうことは、人を描くことに直結してくると思うんですよね。
作家として人物を描くってことになると、また違った価値観も必要ですが、根底にはそういった初期の動機をもっています。
【サムホールサイズ 人物デモストについて】
K:今回、特別企画で人物クラスに在籍している先生方にサムホール展用にデモンストレーションをして頂きましたが、サムホール展の絵はどうでしたか?難しかったですか?
T:そうですね、サムホールというサイズはなかなか普段描かないので・・・。
K:普段はもっと大きな絵を描いている?
T:そうですね、小さくても8号とかそれぐらい・・・
K:人物クラスの中でデモストしてみてどうでしたか?
T:やっぱりモデルを見ながら描けるじゃないですか。普段の制作だと、常にモデルさんがいて描くっていう状況をなかなか作れないので、贅沢な時間を味わいながら描きましたね。
見ながら描くってすごく夢中になれるっていうか、余計なことを考えずにひたすら集中して描けるので、楽しかったですね。会員さんがうらやましくなりました。
K:サムホールサイズで人物を描くっていうのは普段あんまりしないとおっしゃっていましたが。
T:しないですねー・・・なので、正直途中で焦りました笑。こりゃまずいぞーとかって。
最初はさらっと終わらせる予定だったんですけど、段々テンションも上がってきて…集中して描いていくともう一生懸命になりますよね。そうなると次どうしよう、次どうしようってアトリエに来る前から作戦とか考えている。笑
K:まあでも絵を描いているとそうなるよね、どうしても。
T:自分の普段の制作と変わらない・・・
K:(他の先生のデモストと比べて)一番気合入っているなって思いました笑。
T:さらっと描きたいっていうのがあったんですけどね、結局人物見ながら描くって楽しいので・・・
川嶋先生はどうでしたか?普段(制作で)見ながら描くことってありますか?
K:いや、僕はほとんどない。写真を見ながら描くことがメインですね。人物を目の前にして描くっていうことは、僕も贅沢な時間だと思いますし、今回改めてすごくいいなって思いました。
サムホール展のデモストをするって決めた時に、少しでも会員さんのヒントになったほうがと思ったので普段の制作とは違うことを僕はやったんですね。
普段からサムホールサイズで描くこともありますが、やっぱりサムホールで人物を描くってなかなか難しい。構図も限られてきたりもする。しかしその分描き手のこだわりがわかりやすい。
例えば表情にこだわってみようだとか、表現として楽しんでみたらどういうことができるだろうとか。講師それぞれこだわりがありますので、その辺は展覧会でぜひ見て欲しと思います。
でもサムホールサイズで描くことは僕も・・・今年はこれで最後ですね。今年はちょっと大きめの作品を描いていく予定です。今年最後のサムホールサイズがこのデモストでした。
サムホール展ってサイズが限定されてきている分、そこでどうやって個性を出すかって考えるので、何やっても自由ですよーっていうことよりも、むしろ決まり事というか、一つフックがあった方が、思わぬ絵の楽しみが見えてくることもあると思います。
川嶋講師(サムホール作品) 友清講師(サムホール作品)
【モデルを描くこと】
K:友清先生普段人物を描いているときはモデルさんはどうしているんですか?
T:そうですね、こういうモデルさん描きたいっていう理想みたいのがあればいいんですけれど、実はあまりない・・・知り合いの人にちょっと少しお願いしたりとか・・・こだわりがあって選んだ人じゃないんですよ。
K:自分がこういう絵を描きたいからこの人を描きたいっていうよりも、その人の個性から、自分で絵を描くっていう感じですかね?
T:そうですね。あとは例えば群像を描くときは、身体を借りて描くというか、モデルさんに扮装してもらって描くってことはありますね。
K:群像を描くというとスペインにいた頃の作品ですね。
T:そうですね、今でも体を借りるっていう描き方はしているんですけれども、
あまり人物を描くときにモデルさんの容姿に『こうだ』っていう決まりはありません。
K:そのときそのときでモデルさんがこんな感じだからこう描いてみよう、とか楽しんでみるのは、エビスの会員さんのやっていることと同じといえば同じですね。
T:そうですね笑!
K:それってやはり贅沢な考え方ですよね。自分で決めつけて好きなものを描くのではなく、人物を描きましょうってお題が決まっている分、その中に個性を探していけるって人物クラスならではの醍醐味だと思います。
T:川嶋先生はモデルさんには・・・
K:こだわりますね。なんか・・・テンションがね笑。でも、モデルさんを探すのはものすごく難しい。気に入ったモデルさんも長期でできるとは限りませんし。・・・これは文章に起こさないで欲しいですけれど笑、モデルさんによってけっこう・・・ね。絵の出来も違ってくる。
T:そうなんですね・・・!これも文章にして欲しくないんですけど笑、僕の場合あんまり綺麗なモデルさんよりもちょっとどこかクセがあったり特徴があったりするほうが燃えるんですよ笑。
K:それはわかります笑。
T:そのクセをどれだけ綺麗に描こうかなとか・・・
K:ただただ容姿端麗で無個性だったりすると、お人形さんを描いたり、石膏像を描いたりするのと変わらない・・・人間くささがあるとか、個性的な人の方が、その個性をいかに描くかっていうね。
まぁでも、どんな人でもいいやと描くわけではないですね。その人の個性が見えてきたり。それこそスタイル抜群、容姿端麗の人を描けばいい絵になるかっていうと、そんなこともないと思います。昔の巨匠もそうだけど、現代の作家でも、フロイトとかはすっごいボリュームの女の人を描いた絵もあるし。
他にも、知り合いだとか知らない人だとか、あ、この人は前にきたことがある人だなって思って描くことも楽しいと思いますし、初めて見る人だって楽しく描くことができるし、モデルさんから得るインスピレーションってほんとに色々あったりするので、ぜひそういうのも味わって欲しいなって思いますね。
今回作家として友清先生とお話をしましたけれども、最後に、人物クラスの方には勿論人物クラスに在籍していない方に人物クラスの魅力をぜひ。
T:一番は時間に終わりがあるので、緊張感が違いますね。みんなと一緒に同じ時間を共有しながら仕上げていく雰囲気を味わってもらいたいですね。あとはモデルさんを見ながら描く楽しみを味わうっていうのは、実際に描いてみないとわからな。
K:人物クラスで描く楽しみは、人物を描くって言うこと。それにつきますね。
T:絵画教室で人物を描く人って言うのは写真を見ながら描く人が多いと思うんですけれど、(モデルをみて描くことと)全然違うんですよね。ぜひ描きに来て欲しいですね。
川嶋先生、友清先生ありがとうございました!
皆様の人物クラスやクロッキー会へのご参加お待ちしております。